【8月26日 AFP】滅菌された環境で飼育されたマウスや生後間もなく抗生物質を投与されたマウスは、食物アレルギーを予防すると考えられている一般的な腸内細菌が不足していたとの研究論文が25日、米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)に発表された。

 クロストリディア(Clostridia)と呼ばれるこの細菌は、マウスがピーナツに対してアレルギー体質となる可能性を最小限に抑えることができると考えられ、人間に対しても同様の効果を持つかどうかの研究が現在進められている。

 米シカゴ大学(University of Chicago)のキャスリン・ネグレ(Cathryn Nagler)教授(食物アレルギー)率いる研究チームは、より成長したマウスにクロストリディアを含有するプロバイオティクスを投与する実験も行った。結果、アレルギー症状が改善される可能性があることを確認できたという。

 食物アレルギーの原因は、はっきりとは明らかになっていないが、複数の研究では、食生活の変化や衛生状態、さらには抗菌石けんや殺菌製品の使用が腸内環境に変化を及ぼし、そのために人体が影響を受けやすくなる可能性が指摘されている。

 実験では、生まれてから無菌状態で飼育されたマウスと生後直後に抗生物質が投与されて腸内細菌が著しく減少しているマウスをピーナツのアレルゲンと接触させた。

 その結果、両グループのマウスのピーナツに対する抗体反応値は、平均的な腸内細菌を持つ一般的なマウスに比べて著しく高かった。その一方で、マウスの腸内にクロストリディアを注入したところ、食物アレルゲンへの感作が軽減される可能性が確認できたという。

 ネグレ教授は、人間にも同様の効果が得られるかどうかを確認するためには、さらなる研究が必要としている。(c)AFP