【8月25日 AFP】パレスチナ自治区ガザ(Gaza)の学校では24日、新学年が始まり、数十人の生徒たちが早朝から校庭に並んでパレスチナ「国歌」を斉唱した──。ただ同日、授業が始まることはなかった。

 登校した生徒らは、イスラエル軍による48日間の軍事作戦で死亡した2100人以上の犠牲者に対して弔意を表すため、アル・ファティーハ(Fatiha)と呼ばれるコーランの第一章を朗唱した。

 その後生徒たちは、戦闘によって住む家を失った人々が肩を寄せ合って生活する教室へと戻っていった。

「学校の中で暮らさなければならないなんて嫌だ」と話すアミン・キラニ(Amin al-Kilani)君(11)の家族は、イスラエルによる空爆のためにガザ北部のベイトハヌン(Beit Hanun)の家から避難してきた。

「ここで勉強して、そして家に帰りたいんだ」

 国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)によると、ガザの子供たち50万人が、今学期は授業を受けることができないという。アミン君もそのうちのひとりだ。

 ユニセフは24日に発表した声明で、「ガザ地区の学校は閉鎖されたままで、50万人近い子供たちが、教育を受ける権利を享受できないでいる」と述べている。

 また、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営する学校では、ガザ地区内で住みかを失った30万人以上の人々が避難しており、その半分を子どもたちが占めているという。

 パレスチナでは、多くの人々が教育施設を避難所として使用しているため、通常の授業を再開することが難しくなっている。

 一連の戦闘では、ガザ地区の人口180万人の4人に1人が家を失い、2100人以上が死亡している。うち500人近くが子どもたちだ。

 ユニセフおよび国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)、さらに国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン(Save the Children)」は共同で声明を発表し、「ガザで暮らすパレスチナ人の子どもたちにとって、今年の夏は、外で遊ぶこともままならず、危険に満ちたものだった。心に傷を負った子どもたちにとって学校というものは、癒やしの役割を担う生命線のような存在だ」と述べている。(c)AFP/Mai Yaghi