【8月22日 AFP】ナビ・ピレイ(Navi Pillay)国連(UN)人権高等弁務官は22日、3年半に及ぶシリア内戦による死者数が19万1000人を超えたと発表し、「国際社会の無気力」のせいだと強く非難した。

 2011年3月にシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権に対する反体制派の抗議デモを治安部隊が弾圧したことをきっかけに戦闘が勃発して以来、今年4月までの死者は計19万1369人に達した。1年前からは2倍近くに増えている。

 それでも今回、異なる5つの情報源に報告された死者の数を照合し、統計を作成した国連のチームは、氏名や死亡した日時、場所などの情報が欠けていることから5万2000人近くが計上されておらず、実際の死者数はさらに大きく上回る可能性があるとしている。

 統計によると、死者のうち9000人近くは子どもで、さらにそのうち少なくとも2000人が10歳未満だという。ただし、死者の83.8%は年齢が記録されていないため、子どもの死者数も少なく計上されている可能性が高い。また死者の85%は男性だが、戦闘員か民間人かの区別はされていない。

 都市別では最も多いのが首都ダマスカス(Damascus)とその周辺の約4万人近く、続いてアレッポ(Aleppo)の約3万2000人、ホムス(Homs)の2万8000人以上となっている。

 ピレイ弁務官は声明で、国際社会の関心低下を「恥ずべき」と非難し、「グローバルな不安定化が起きている期間、他にも多くの紛争が勃発し、シリア内戦とその民間人への深刻な被害が国際社会の関心から抜け落ちたことを極めて遺憾に思う。シリアの殺人者、破壊者、拷問者たちは国際社会の無気力さによって勢いづいている」と批判している。(c)AFP/Nina LARSON