【8月22日 AFP】南米ベネズエラのニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領は20日、国内のスーパーマーケット各店に指紋認証スキャナーを導入する計画を発表した。生活必需品の価格規制を行っている同国で食品や日用品を安く購入し、周辺国に密輸出している業者を取り締まるためという。

 ベネズエラでは価格規制により、食品をはじめとする生活必需品の値段が周辺国に比べて最大10分の1の安さとなっている。

 マドゥロ大統領は、ベネズエラ国内で生活必需品が供給不足に陥っているのは、密輸業者が越境してベネズエラで安い商品を買いつけ、周辺国、特に隣国コロンビアで販売して莫大な利益を得ているせいだと非難している。

 指紋スキャナーの導入は、何度もスーパーに来て異常なほど大量の食品を買い込む行為などを防止するのが狙い。

 マドゥロ大統領は「(ベネズエラ・ボリバル)共和国内の全てスーパーマーケットと商業・流通チェーンに生体認証システムを導入するよう、価格規制監督当局に命じた」と発表。「生体認証システムは完璧だろう」「不正防止のための神のたまものだ」などと述べた。

 ベネズエラ政府は今月初旬には、密輸取り締まりのため全長2200キロに及ぶ隣国コロンビアとの国境を毎晩封鎖する措置を開始している。

 ベネズエラは世界でも最大規模の石油埋蔵量があるにもかかわらず経済危機に陥っており、増大する財政赤字と慢性的な供給不足に悩まされている。政府は2か月前に年間インフレ率60%を発表して以降、インフレ率を発表していない。(c)AFP