【8月21日 AFP】イスラエルで17日、5年前の出会いから愛を育んできたマフムード・マンスール(Mahmud Mansur)さん(26)とモレル・マルカ(Morel Malka)さん(23)がテルアビブ(Tel Aviv)近郊のヤッファ(Jaffa)で結婚式を挙げた。だが二人は生涯最高の時となるはずだった式が、ユダヤ人とアラブ人との結婚に反対する団体に台無しにされるとは夢にも思っていなかった。

 挙式に先立ち、マフムードさんとモレルさんはフェイスブック(Facebook)に結婚式の詳細を書き込んだ。ところが、これがユダヤ人と非ユダヤ人の結婚に反対するイスラエルの極右団体「レハバ(Lehava)」の目に触れ、同団体は結婚式当日に式場前での抗議行動を呼びかけた。

 2人が住むヤッファはユダヤ人とアラブ系住民が混在していることで知られている。モレルさんはユダヤ教徒だったがイスラム教に改宗している。

 結婚式の当日、式場周辺にはレハバの呼びかけで差別的な言葉が書かれたTシャツ着た若者数百人が集まり、警察官100人ほどが制止にあたるなか、つかず離れずの距離から新郎新婦や親戚たちに嫌がらせをした。

 マフムードさんとモレルさんを支持する若者たちは、「愛はすべてを克服する」「ユダヤ教徒とイスラム教徒は敵にはならない」などと書かれたプラカードを掲げ、2人に花束を渡した。その一方で、抗議行動に参加した若者たちは巨大なイスラエル国旗を振りながら「アラブ人に死を!」などと叫んだ。

 この出来事は、各紙が大きく取り上げ、国営テレビでも生中継された。

 マフムードさんとモレルさんの結婚をめぐる騒動は、レウベン・リブリン(Reuven Rivlin)大統領の耳にも届くところとなった。極右寄りとして知られるリブリン大統領だが、2人の結婚に対する抗議行動ついては「言語道断であり懸念している」と述べ、自身のフェイスブックで「健康と平和、喜びを祈る」と2人を祝福した。

 一方、抗議行動を呼び掛けたレハバの代表は、「この結婚に何ら祝福すべきものはない。この結婚は災難だ」と述べている。

 マフムードさんとモレルさんは結婚式にあたって、ボディーガードを雇わねばならず、抗議行動の参加者にもみくちゃにされながら式場内に入った数百人の招待客に対してもボディチェックが行われたという。(c)AFP/Daphne ROUSSEAU