【8月21日 AFP】(一部更新)米政府は20日、シリアでイスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」に身柄を拘束されていた米国人たちの救出作戦を最近実施したものの、失敗に終わっていたことを明らかにした。米メディアが伝えた政府高官の話によると、救出対象にはISが19日に処刑映像を公開した米国人ジャーナリスト、ジェームズ・フォーリー(James Foley)氏も含まれていたという。

 米国防総省のジョン・カービー(John Kirby)報道官は声明で、「米政府は最近、シリアで『イラク・レバントのイスラム国(ISIL)』(ISの旧名称)に拘束されている多数の米国人の救出作戦を実施した」「この作戦は航空・地上部隊が参加し、ISIL内の特定の拉致ネットワークを標的としたものだった」と説明。だが、「人質らはその場所におらず、残念ながら作戦は成功しなかった」という。

 一方、ホワイトハウス(White House)も独自の声明を発表し、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領が「この夏」に救出作戦を承認していたことを明らかにした。

 両声明はともに、救出作戦の対象に、2012年11月にシリア北部で武装集団に拉致されたフォーリー氏が含まれていたかは明らかにしていない。だが、米メディアはオバマ政権高官らの話として、米特殊作戦軍(USSOCOM)が実施したこの作戦の対象には同氏も含まれていたと報じている。

 同氏が処刑される様子を撮影した映像にはさらに、別の米国人記者、スティーブン・ソトロフ(Steven Sotloff)氏も写っており、映像内に登場したIS戦闘員は、オバマ大統領がイラクのIS拠点への空爆を続けるならば同氏も殺害すると警告している。

 米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)によると、作戦には数十規模の特殊作戦軍部隊が関わり、隊員の1人はISの戦闘員らとの激しい銃撃戦で負傷した。同紙は、米軍が内戦勃発後のシリアで地上作戦を行ったのはこれが初めてだと報じている。また、救出対象の人質にはフォーリー氏の他にソトロフ氏も含まれていたとみられるという。(c)AFP