【8月20日 AFP】首をかしげたくなるようなご近所の人の行動で、自分の寿命が縮まったような気がしたことはないだろうか。18日に英専門誌「Journal of Epidemiology and Community Health(疫学と地域保健ジャーナル)」のウェブサイトに掲載された研究によると、その不安には根拠がありそうだ。

「良い隣人を持ち、地域の人たちと互いにつながっていると感じることで、心臓発作のリスクを減らすことができる可能性がある」と論文を発表した研究チームは声明で述べた。

■近隣への信頼感で発作リスク低下

 米ミシガン大学(University of Michigan)の研究チームは51歳以上を対象にした「健康・退職調査(Health and Retirement Study)」の参加者のうち心臓疾患の履歴がない5276人の調査を行った。この対象グループの平均年齢は70歳で、既婚女性が中心だった。

 研究チームは調査開始前、自分は近隣地区の一員だと感じているか、困ったときに隣人を頼れるか、隣人を信じられるか、隣人を友好的と感じるかといった項目について最高点を7点として被験者に採点させた。その上で2006年から4年間、心臓血管の健康状態を監視した。この間に148人が心臓発作を患った。

 結果、7点満点とした人は、1点の人と比べて心臓発作の危険性が67%低下していた。

 論文共著者のエリック・キム(Eric Kim)氏はこの差について「喫煙者と非喫煙者の間の心臓発作リスクの差とだいたい同等だ」と述べ、「有意」な低下だとAFPに語った。

■運動増加が要因か

 この関連性の背後にあるメカニズムはまだ分かっていないが、研究チームは、地域が密接になることで歩行などの運動をする機会が増える可能性があると指摘した。運動には血管の詰まりや疾患を防ぐ効果がある。

 一方で研究チームは声明で「同研究は観察研究であり、因果関係を証明することはできない」と述べた。

 これまで近隣の環境と健康との関連性についての調査は、ファストフード店の多さや暴力、騒音、交通、大気汚染、破壊行為、薬物乱用などの要素を通じた「悪影響」に重点が置かれていた。(c)AFP