【8月20日 AFP】アフリカで、年間出生数を上回るゾウが密猟によって殺されているとの調査結果が18日、米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)電子版に掲載された。過去最も詳細にわたって行われたという今回の調査によれば、問題はこれまで考えられていた以上に深刻である可能性が出てきた。

 ケニアのサンブル国立保護区(Samburu National Reserve)で開発された精度の高い新たな調査手法を用いて行った調査の結果、ゾウの個体数はおよそ年2%の割合で減少していた。米コロラド州立大学(Colorado State University)魚類・野生生物・保全生物学部のジョージ・ウィットマイヤー(George Wittemyer)助教は、「ゾウが絶滅に向かい始めていることを示すものだ」と指摘している。

 野生のアフリカゾウの実際の生息数を正確に把握するのが困難だが、世界自然保護基金(World Wide Fund for NatureWWF)は47万~69万頭と推定している。

■年3万3630頭のゾウが密猟で死ぬ

 新たに開発されたモデルはアフリカ大陸全体を範囲とするため、近年死んだゾウの頭数はこれまでの調査の推定よりも多くなった。

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約「ワシントン条約(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and FloraCITES)」事務局が約50か所で実施した調査に基づき算出した推計によると、アフリカ全体では2011年、約2万5000頭が密猟によって殺された可能性があるとされていた。しかし今回の調査では、密猟で死んだゾウの数は同年、約4万頭に上ったと推計された。

 今回の調査によると、2010~12年に密猟によって殺されたゾウの数は、年平均3万3630頭だった。(c)AFP/Kerry SHERIDAN