【8月20日 AFP】黒と白の体色が特徴的な鳥、カササギは、光る物を好んで集める「宝石泥棒」として代々知られてきたが、実際には光る物体には警戒して近づかないことが明らかになった──ドイツの比較認知科学専門誌「Animal Cognition(動物の認知)」にこれまでの俗説を覆す研究論文が掲載された。

 英エクセター大学(University of Exeter)の動物行動学者チームは幾つかの実験を行った結果、カササギには「盗癖」などなく、実際には未知の物体に対して極めて警戒的であることが分かったという。

 研究チームは、同大のキャンパス内のさまざまな場所に光る物体や光沢のない物体を並べ、野生および飼育されたカササギの反応を観察した。

 使用した物体は金属のねじやアルミホイルで作った指輪、そして細かく切ったアルミホイルなどで、半分はつや消し塗料で青く塗り、残りは光沢のある状態のままで配置した。これら物体の間には餌となる多くの木の実が置かれた。

 今回の研究をめぐり同大より発表された声明によると「カササギが光る物に接触したのは、64回中、2回だけだった」という。

「2回とも、銀色の指輪を拾い上げたがすぐに放した」

 カササギは光る物に引き寄せられるどころか、見慣れない物を嫌い、警戒する傾向を示したと論文の執筆者らは指摘。光る物であれ光沢のない物であれ、木の実の近くに置かれている物体に対しては常に警戒する様子を見せた。

 カササギは、最も高い知能を持つ鳥の一種として広く認識されており、欧州の民話では、家の窓付近から宝飾品類を盗み巣に持ち帰る習性を持つ「泥棒」としてしばしば描かれている。

 カササギの「盗癖」とされているこの習性は、イタリアの作曲家ジョアキーノ・ロッシーニ(Gioacchino Rossini)のオペラや、ベルギーの人気漫画シリーズ「タンタンの冒険旅行(The Adventures of Tintin)」にも登場している。

「カササギをめぐる民間伝承は、文化の普遍化によって生じた結果であり、どちらかと言えば逸話である可能性が高いと思われる」と論文は結論付けた。

 論文の共同執筆者の一人、ナタリー・ヘンペル・ド・イバラ(Natalie Hempel de Ibarra)氏は「カササギが利口な鳥であることは、今回の研究で改めて示された。彼らは光る物体に衝動的に引き寄せられることはなく、これら物体が見慣れぬ、見知らぬものである場合は、安全な距離を保って近づかない」と説明した。(c)AFP