【8月14日 AFP】餌の魚を捉えたイルカが発する、楽しげな子供の歓声のような鳴き声は、餌が周囲にあることを仲間に知らせることの目的以外に、純粋に喜びの表現であるとした研究論文が、13日の英科学誌「Journal of Experimental Biology(実験生物学ジャーナル)」に掲載された。

 論文の主執筆者で、米カリフォルニア(California)州サンディエゴ(San Diego)にある全米海洋哺乳類財団(National Marine Mammal Foundation)のサム・リジウェー(Sam Ridgway)氏率いる研究チームは、イルカの鳴き声が喜びを表していると考えられる理由について、脳内ホルモンのドーパミンが分泌されるまでの時間に合致するからだとしている。

 1950年代に行われたイルカを対象にした実験では、イルカは脳の報酬領域にドーパミン作動性ニューロンを持ち、脳が刺激された後に鳴き声を発することが明らかになっている。

 リジウェー氏率いる研究チームは、バンドウイルカとシロイルカ(ベルーガ)を対象に行った数年間にわたる研究の記録を再検討したところ、喜びの経験──報酬および報酬への期待──とドーパミンが分泌されるまでの時間の間には、およそ100ミリ秒の時間のずれが生じていることが分かったという。

「われわれは、イルカの鳴き声には満足感が伴っていることを証明したと考える」

 バンドウイルカとシロイルカは「頻繁に鳴き声を発する動物」であるため、鳴き声の特徴やタイミング、背景などによって、イルカの心の状態や仲間とのコミュニケーションにおける鳴き声の役割について、さらに多くのことが明らかになる可能性があると論文は結論付けている。(c)AFP