【8月11日 AFP】タイでの代理出産をめぐる騒動の渦中にあるオーストラリア人夫婦は10日、代理出産でもうけた男児がダウン症候群であったことを理由に引き取りを拒否したとの疑惑を否定し、息子を取り戻すために闘うと宣言した。

 この男児、ガミー(Gammy)ちゃんの生物学的父親で、子どもに対する性犯罪の前科があるデービッド・ファーネル(David Farnell)さん(56)は、妻のウェンディ(Wendy Farnell)さんと共に豪テレビ局チャンネル・ナイン(Channel Nine)と騒動勃発後で初めてとなるインタビューに応じ、「ガミーを私たちと一緒に連れて帰りたかった」と語った。

 ファーネルさん夫婦は、タイ人の代理母パタラモン・チャンブア(Pattaramon Chanbua)さん(21)の元にガミーちゃんを残したまま、健康な双子の女児だけを連れて帰ったことから、世界的な議論を巻き起こしていた。

 デービッドさんは「われわれは、あなた(パタラモンさん)にこの子を渡すなんて一度も言っていない。どんなことがあっても」と語った。

 デービッドさんはまた、「彼女(パタラモンさん)は、もし私たちが息子を引き取ろうとしたなら、警察を呼んで娘を連れて行く、子どもたちは2人とも手放すつもりはないと言った」と主張。ガミーちゃんを置いてタイを去ったのは、「娘までも失うことになるのではと怖くなり、娘だけはなんとか連れ出さなければいけなかった」ためだと説明した。

 豪パース(Perth)南部バンバリー(Bunbury)在住のファーネルさん夫婦はこのインタビューより以前に発表した声明で、ガミーちゃんがダウン症候群であることは知らず、先天的な心疾患があると聞かされていたと主張。生存の望みはないと医師から聞かされていたために、ガミーちゃんを引き取らなかったのだと話していた。

 ガミーちゃんの治療費として24万米ドル(約2400万円)以上の資金を集めたオーストラリアの慈善団体によると、バンコク(Bangkok)の専門家らが検査した結果、ガミーちゃんにはこの心疾患がないことが分かった。

 パタラモンさんは、検査で男児がダウン症候群であることが分かった際に、代理出産の仲介業者から、実の両親がタイでは違法な中絶を求めていると聞かされたが、これを断ったと主張している。

 だがデービッドさんは「彼を見捨てたりはしていません。代理母に『中絶しろ』なんて言っていない」と主張。一方で、その考えが夫婦の心に浮かんだことは認めた。

 デービッドさんはまた、夫婦はタイを後にしてからガミーちゃんの様子を知るために連絡を取ろうとはしなかったことも認めた。

 さらに「私たちは、まず娘の安全を確保し、誰からも取り上げられることがないよう、(オーストラリアで)努力してきました」と述べ、娘はタイ生まれで、法的にはまだオーストラリア人でないことを説明。「娘が私たちのもとで100%安全であると保証されれば、息子を引き取りに行くことができる」と語った。(c)AFP