【8月9日 AFP】(一部更新)米軍は8日、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」のイラク北部の拠点を空爆した。米政府は、2か月前に始まった今回の危機で「大量虐殺」が発生したり米国の財産が危険にさらされたりする恐れがあるとしているが、空爆は情勢の転換点となる可能性がある。

 イスラム国はモスル(Mosul)のダムを掌握するなどその支配地域を大幅に広げ、10万人もの少数宗派住民が避難を余儀なくされた。このような中、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は、2011年にイラク駐留米軍が撤退した後としては初めてイラク国内での空爆を命じた。

 米国防総省のジョン・カービー(John Kirby)報道官はツイッター(Twitter)で、クルド人自治区の首府アルビル(Arbil)を防衛する同自治区の治安部隊がイスラム国から砲撃されたのを受け、米軍機がイスラム国に対し空爆を実施し、米軍機2機が移動式火砲1門を攻撃したと発表した。

 数時間後に行われた2度目の空爆では無人機1機が迫撃砲陣地を破壊し、複数のジェット機が7台からなるイスラム国側の車列をレーザー誘導弾8発で攻撃した。

 米国は、イスラム国を避けてイラク北部の不毛の山岳地帯に隠れている数千人に食糧と水を航空機から投下する作戦も行った。イラク北部のシンジャル(Sinjar)の山地には、4000年前からの信仰を守っている少数派のヤジディー(Yazidi)教徒が、焼け付くような暑さの中、支援物資を受け取ることなく5日前から身を隠している。(c)AFP/Abdelhamid Zebari