【8月9日 AFP】ウクライナ東部で8日、戦闘が新たに激化し、政府軍兵士15人が死亡、79人が負傷した。北大西洋条約機構(NATO)が国境付近に集結したロシア軍撤退を強く求める中、ロシアによるウクライナ侵攻の恐れがさらに強まっている。

 今回の戦闘は、NATOのアナス・フォー・ラスムセン(Anders Fogh Rasmussen)事務総長がロシア政府に軍を国境から離れさせるよう警告し、欧米諸国がロシアは人道的任務の口実で国境を越えてウクライナ領内に派兵する準備をしている恐れがあると警告した後に起きた。

 ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は8日、国家安全保障会議を開き、ウクライナ東部の情勢、特に同地域の「大規模な人道主義的危機」について討議した。

 ニコライ・パトルシェフ(Nikolai Patrushev)安全保障会議書記は、ロシア政府は緊張緩和のために最善を尽くしていると述べたが、ウクライナ政府は政府軍拠点が依然としてロシア領内から攻撃を受けていると発表している。

 ウクライナ政府軍によると、親露派武装勢力との3日間にわたる戦闘で、政府軍の数部隊がルガンスク(Lugansk)地域南東部の国境付近から退却を余儀なくされ、過去24時間に兵士7人と国境警備隊員8人が死亡、兵士79人が負傷した。

 一方、AFPの記者はドネツク(Donetsk)で新たに再開した散発的な砲撃音を聞いている。

 新たな戦場となったドネツク中心部は7日に初めて継続的な砲撃を受け、迫撃砲で少なくとも市民3人が死亡し、病院に砲弾が着弾した。

 辞任したアレキサンドル・ボロダイ(Alexander Borodai)氏の後任として「ドネツク人民共和国」の首相に就任したアレクサンドル・ザハルチェンコ(Alexander Zakharchenko)氏は、情勢は「困難で緊迫している」が「兵士らの士気は高い」と語った。(c)AFP/Anna MALPAS