【8月7日 AFP】イラク北部広域を掌握したイスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」の戦闘員らがキリスト教徒たちを街から追放して教会を占拠し、十字架を引きずりおろしたり聖典を破棄したりしている。イラク最大のキリスト教宗派でローマ・カトリック教会系列のカルデア(Chaldea)派の司教が7日、AFPに語った。

 ルイス・サコ(Louis Sako)司教によると、着の身着のまま街を追われたキリスト教徒たちは10万人に上り、徒歩などでクルド人自治区に避難しており、同司教は「人道上の災害だ」と訴えた。これまでに聖典1500冊が焼却されたという。

 約2か月前にイラクのスンニ派の主要地域の広範に進攻を開始したイスラム国は、イラク第2の都市モスル(Mosul)東部の街や村への襲撃を続け、イラク最大のキリスト教都市で人口5万人のカラコシュ(Qaraqosh)や周辺地域も攻撃した。これらの地域はクルド人自治区の民兵組織ペシュメルガ(Peshmerga)の管轄下にあった。

 周辺のクルド人自治区に逃れてきた住民らに電話で話を聞いたところ、イスラム国の戦闘員によって街が制圧されたことを認めた。

 現段階で正確な状況は把握できていないが、目撃者情報によれば制圧された街からは元の住民が完全にいなくなったという。(c)AFP