【8月6日 AFP】反社会的なキャラクターを賛美する暴力的なビデオゲームは、10代の子どもが犯罪行為や喫煙、飲酒などの危険な行動に走るリスクを高める可能性があるとの研究結果が4日、米科学誌「Journal of Personality and Social Psychology(パーソナリティーと社会の心理学雑誌)」で発表された。

 米ダートマス大学(Dartmouth College)の研究グループは、無作為に選んだ米国の10代の若者5000人を対象に4年間にわたって電話調査を行った。研究材料としたのは暴力を美化する3つのゲーム──グランド・セフト・オート(Grand Theft Auto)、マンハント(Manhunt)、スパイダーマン(Spiderman)──のほか、17歳以上指定(マチュア指定)のゲームなどだ。

 研究では、こうした17歳以上指定のビデオゲームが、10代の子どもの自己像に影響を及ぼすことも分かった。

■薬物使用や危険運転にも影響及ぶ可能性

 これらのゲームの影響で10代の子どもが不注意な車の運転をする恐れがあることは、既にダートマス大が2012年に発表した研究で示されている。また他の研究でも暴力的なゲームと、若者の攻撃性や暴力的な性質との間には関連性があると指摘されている。

 今回の研究結果の重要性は「暴力的なビデオゲームの影響が、暴力にとどまらず、薬物の使用や危険な運転、リスクの高い性的行為にも及ぶ可能性が今回、初めて示された」点だと論文共著者の1人、同大学のジェイムズ・サージェント(James Sargent)教授(小児科学)は言う。

 実際に暴力的なゲームを楽しむ子どもは、ゲームの中の反社会的な主人公と自分自身を重ね合わせる可能性がある。

 これらの17歳以上指定のゲームと、広範囲な高リスク行動に対する態度変化との関連性について、研究チームは「一因はユーザーの人格や態度、価値観が変化し、特に反抗的になったり、スリルを求めるようになったことにある」と述べている。

 影響を最も強く受けたのは、頻繁にゲームをする子ども、反社会的なキャラクターを主人公にするゲームで遊ぶ子どもだった。男女の差はみられなかった。(c)AFP