■フェロモンは人間にも効く?根底に科学実験

 参加者はみんな笑顔で、この一風変わった催しを楽しんでいるように見えた。「『やあ』ってあいさつするべきかな、それとも『ワンワン』?」と、においを嗅ぐ様子を犬になぞらえて冗談を飛ばす男性も。

「すごく変わったコンセプトだけれど、すぐに相手と打ち解けられること間違いなしなんですよ。だって、全くの初対面の人のTシャツのにおいを嗅いでいるんですから。格好つけたり、見えを張ったりなんてできない」。AFPの取材にこう語ったナデルさんは、今年からロンドン市内でフェロモン・パーティーを主催している。

 ナデルさん自身も独身で、従来の出会い系サイトを介した恋人探しに不満がつのっていたのだという。

 元祖フェロモン・パーティーは2010年、米国でアーティストのジュディス・プレイズ(Judith Prays)氏が開催した。着想の基になったのは、スイスの科学者クラウス・ウェーデキント(Claus Wedekind)氏が1995年に行った実験だ。

 ウェーデキント氏は、動物の性的行動の基になっているのはフェロモンであり、それは人間にも嗅ぎ分けられるはずだと提唱した。

 3月にロンドンで初開催されたフェロモン・パーティーでは、6組のカップルが成立した。そのうち何組が現在も交際を続けているのかは不明だが、ありきたりでない出会いを求める大都市で、この「においパーティー」は人々の心を引き付けているようだ。

 参加費は、最高でも12ポンド(約2000円)。過去2回開催されたパーティーには、いずれも140人超が参加した。参加を希望する人の順番待ちのリストもどんどん伸びているそうだ。(c)AFP/Anne Laure MONDESERT