アルゼンチン協会のグロンドーナ会長が死去
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【7月31日 AFP】アルゼンチンサッカー協会(Argentine Football Association、AFA)の会長で、国際サッカー連盟(FIFA)の副会長でもあったフリオ・グロンドーナ(Julio Grondona)氏が30日、ブエノスアイレス(Buenos Aires)の病院で死去したと、AFAの関係筋が明らかにした。82歳だった。
アルゼンチンサッカー界の大御所で、1979年以来、協会の会長を務めてきたグロンドーナ氏は、心臓病のため入院し、緊急手術を受けたものの、そのまま帰らぬ人となった。
グロンドーナ氏は今週、アルゼンチン代表を率いるアレハンドロ・サベジャ(Alejandro Sabella)監督と会談していた。W杯ブラジル大会(2014 World Cup)で同国代表を決勝に導いたサベジャ監督だが、すでに退任を決断しているとされている。
1979年に当時の軍事政権からAFA会長に指名されたグロンドーナ氏は、9年後の1988年からFIFAの理事を務め、財務委員会を率いた。
AFA会長としてのグロンドーナ氏は、国内に約2万2000あるクラブチームから惜しみない後押しを受け、4年ごとの会長選で再選を続け、アルゼンチンサッカー界を支配してきた。
グロンドーナ氏が会長を務めて以降、アルゼンチンは1986年のメキシコW杯、1991年と1993年のコパ・アメリカで優勝を果たし、2004年と2008年には五輪の金メダルも獲得している。
また若き日のグロンドーナ氏は、ブエノスアイレス郊外のサランディ(Sarandi)地区にアルセナルFC(Arsenal Futbol Club)を設立した。このクラブは近年、国内有数の強豪として頭角を現しつつある。
その一方で、FIFA役員を務めるまでになったグロンドーナ氏には、スキャンダルとそれに対する批判が常に付きまとってきた。
最近では、テレビ放映権と引き換えに多額の金を国庫からAFAへ流していたとして、クリスティナ・フェルナンデス・デ・キルチネル(Cristina Fernandez de Kirchner)大統領らから糾弾されていた。
また、前回の会長選が行われた2011年には、グロンドーナ氏の元同僚で、国内テレビ局「TyC Sports」のオーナーでもあるカルロス・アビラ(Carlos Avila)氏が、会長は欧州に12の無申告口座を持っていると主張していた。
アビラ氏は、当時行われた調査に対して「私がグロンドーナをどう思っているか知りたいって?いいだろう。あの男はFIFAの『プンテロ(裏の作戦部長)』だ」と発言している。
「グロンドーナが絶大な権力でサッカー界を動かしていることは皆が知っている。(アルゼンチンの)貧しいクラブの後押しがいつだってあるからね」
先日のW杯ブラジル大会では、VIP用優待チケットの横流しという国際スキャンダルにAFAも関与していたとされており、ブラジル警察が捜査を行っている。
違法に販売されたチケットの1枚には、グロンドーナ氏の息子ウンベルト・グロンドーナ(Humberto Grondona)氏の名前が入っていた。ウンベルト氏は違法行為の関与は否定したが、チケットを友人に売ったことは認めている。このチケットは、ブラジルの捜査対象には入っていない。(c)AFP