【8月7日 AFP】真剣なまなざしで画面を見つめ、ジョイスティックで切断機を遠隔操作するオペレーター──この作業員が細心の注意を払って解体しているのは、停止した原子炉の金属部品だ。

 時間もコストもかかるが、ドイツ南部にある電力大手エネルギー・バーデン・ビュルテンベル(Energie Baden-WurttembergEnBW)のオブリハイム(Obrigheim)原発の原子炉解体作業は、入念な準備のもとで行われ、すでに工程の半分以上が完了した。

 最終的には、37年間稼働した原発の機材、建材、設備など計27万5000トンが解体されなければならない。うち約1%にあたる約2000トンが放射性物質だ。

■廃炉のエキスパート目指す

 原発運用業務が終わりを迎える中、EnBWは今後、原発解体のエキスパートとして活路を見出していくことになる。

 EnBW広報担当者のウルリヒ・シュレーダー(Ulrich Schroeder)氏は、スイスやイタリアなどでも原子力依存からの脱却が決断されたことに触れ、今後、原発解体に熱い視線が注がれる可能性があると語る。「解体、管理、廃棄物リサイクルにおいて、すでに競争が起きている」

 原発を段階的に廃止して、環境配慮型のグリーンエネルギーに移行する政府の「エネルギー転換」政策の下、同原発の解体は2025年までに完了する予定となっている。

「あらゆる工程が手動の遠隔操作で行われている」と、現場を担当する技術者のミヒャエル・ヒルマン(Michael Hillmann)氏は、ネッカー(Neckar)渓谷にある同原発の管制室でAFPの取材に語った。

 解体作業が終わっていない残りの部分については、立ち入りが規制されたエリアで水没した状態にある。そのエリアに入るには防護服を着用する必要があり、1回の作業で10分以上滞在してはならない決まりとなっている。

 解体済みのパーツや廃材は、「梱包」するための別のエリアに機械で運び込まれる。そこで放射性廃棄物を保管するための黄色い大型の容器に収められる。