【7月30日 AFP】中国共産党は29日、前政権で治安・司法部門トップを務め、現在も党内で大きな影響力を持つ周永康(Zhou Yongkang)前政治局常務委員に対し、「重大な規律違反」の疑いで調査を開始したと発表した。

 周氏が調査対象となっていることはかねてうわさされていた。2012年まで政治局常務委員を務めた周氏は、文化大革命を主導し1980年に裁判にかけられた「四人組(Gang of Four)」以降、調査対象となった共産党員としては最も高位の人物になった。

 公式声明は、周氏が「重大な規律違反」で調査されているとしているが、この表現は通常、汚職を指す場合に使われる。

 周氏の処分が決まるまでには、中国共産党内部で派閥間折衝が幅広く繰り返されるだろう。だが、政治局常務委員の身分は退任後も触れられないと、長い間考えられてきただけに、決定は政治支配層を激しく揺さぶることになるとみられる。

 周氏は、重慶(Chongqing)市の元トップで、英国人実業家が死亡した事件をきっかけに失脚した薄熙来(Bo Xilai)元政治局員の後援者とみなされ、薄氏の政治局入りも後押ししたと言われていた。この事件では薄氏の妻も起訴され、殺人罪で有罪判決を受けた。

 アナリストらは、今回の発表は汚職対策を大々的に進める習近平(Xi Jinping)国家主席が、長年のタブーさえ破ることができるほどの力を持つに至ったことを示していると分析している。

 香港中文大学(Chinese University of Hong Kong)の政治学専門家、ウィリー・ラム(Willy Lam)氏は、「政治局常務委員経験者は追及しないとの不文律がある」とした上で、江沢民(Jiang Zemin)元国家主席や李鵬(Li Peng)元首相といった最高指導部の元メンバーらは、周氏の立件に反対していたと説明。調査開始の決定は、習国家主席がそうした共産党の重鎮らを説得するのに十分な影響力や手腕を持っていることを示していると指摘している。(c)AFP