【7月30日 AFP】アルゼンチンの債務返済問題で、一部債務の支払い猶予期限である30日までに、アルゼンチンと全額返済を求める米ファンドとの間で和解することができなければ、同国は再びデフォルト(債務不履行)に陥り、世界的にに大きな影響が生じるとみられている。

 アルゼンチンは2001年にデフォルトに陥った。その後、債権者の92%が債務の最大7割削減で合意したが、債務削減に応じなかった残りの債権者から債権を買い取った米ヘッジファンドが、同国に対して全額の支払いを求めていた。この問題をめぐる米国での訴訟では、裁判所はヘッジファンドへの全額支払いをアルゼンチン政府に命じる判断を下し、同時に、ヘッジファンドへの支払いを完了しない限り、債務削減に応じた投資家への支払いも停止するよう命じた。

 アルゼンチンが裁判所の命令に従い、債務削減を拒否した米ヘッジファンドへの13億ドル(約1300億円)の債務全額返済を選択した場合、残りのすべての債権者についても全額返済を余儀なくされることになる。

 デフォルトの影響について、アルゼンチンのコンサルタント会社Abecebのエコノミスト、フアン・パブロ・ロンデロス(Juan Pablo Ronderos)氏は、「日常ベースでは01年の時に比べて影響ははるかに小さい」と述べる一方で、資金調達を目指す企業や輸入関連業者は厳しい状況に陥るだろうとの見方を示した。

 アルゼンチンは01年のデフォルト以降、国際金融市場から締め出されており、デフォルトに再び陥れば、こうした状況がさらに長引くことになる。

 アルゼンチンのクリスティナ・フェルナンデス・デ・キルチネル(Cristina Fernandez de Kirchner)大統領は、再編された国債の利払いの原資5億ドル(約510億円)超を既に米銀行の口座に払い込んだことを根拠に、デフォルトにはならないと主張。これに対して、米連邦地裁のトーマス・グリエサ(Thomas Griesa)裁判官は6月、債務削減を拒否した米ヘッジファンドへの支払いと他の債権者への利払いとが同時に行われる必要があり、原資を預かる米バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(Bank of New York Mellon)は利払いの手続きだけを行うことはできないとの判断を下していた。

 一方、アルゼンチンの国民にとっては、デフォルトの脅威よりも犯罪やインフレに対する不安の方が大きいようだ。13年12月時点のアルゼンチンのインフレ率は28%に達し、今年1月には通貨の切り下げを行った。国民にとって身近な公共サービスの価格は上昇し、財政状況も厳しい。14年第1四半期の国内総生産(GDP)はマイナス成長となり、同国はリセッション(景気後退)の局面にある。

 一部の専門家は、デフォルトで「アルゼンチンで起きているすべての事が悪化する」としており、さらなる一時解雇が最も大きな懸念事項だと述べている。同国の失業率は7.1%と現時点でも既に高い。また、デフォルトにより、米ドルを借り入れている国内の事業体は金利上昇に直面するとされ、資金調達が難しくなり、経済が一段と減速するとの見方が示されている。(c)AFP/Paula Bustamante