【7月29日 AFP】ウクライナの親ロシア派武装勢力によると、同国の政府軍は28日、東部にある広範なマレーシア航空(Malaysia Airlines)MH17便墜落現場の一部を掌握した。政府側も、墜落場所から10キロ離れたシャフチョルスク(Shakhtarsk)を含む現場付近の複数の町に軍の部隊が進入したことを認めている。

 オーストラリアとオランダの非武装警察官らは同日、今月17日に撃墜された同機の298人の犠牲者の一部がいまだ残されたままとなっている墜落現場入りを、前日に引き続き改めて試みたが、爆発や戦闘により再び断念していた。

 親露派が掌握しているドネツク(Donetsk)にいる欧州安保協力機構(Organisation for Security and Cooperation in EuropeOSCE)監視団の報道官は、「犠牲者が現場に残されているのは極めて非人道的」と指摘。同監視団のアレクサンダー・フグ(Alexander Hug)副団長は、「当事者全員に対し、明日(29日)こそ必ず安全に現地入りすると念を押した」と述べた。

 しかし調査を主導しているオランダの捜査当局は、一部の遺体を収容できないのではないかと懸念している。オランダ国家警察のヘラルト・バウマン(Gerard Bouman)長官はハーグ(Hague)の議会で、「全て(の遺体)を収容できる可能性はあまり高くないとみている」と述べた。

■「MH17便撃墜は戦争犯罪」

 国連(UN)によると、過去3か月間のウクライナ東部での戦闘で1100人以上が死亡した。この数には、撃墜されたMH17便の犠牲者は含まれていない。

 ナビ・ピレイ(Navi Pillay)国連人権高等弁務官は、当時親露派が制圧していた地域で同機が撃墜されたことを強く非難し、「徹底的で効率的な、独立した偏見のない捜査」を要請。その上でピレイ氏は、「現在の状況を鑑みると、この国際法違反は戦争犯罪に該当する恐れがある」と指摘した。(c)AFP/Dario THUBURN in Donetsk with Hui Min NEO in Kiev