【7月28日 AFP】「Xファイル(X-Files)」や「カリフォルニケーション(Californication)」シリーズで知られる米俳優デヴィッド・ドゥカヴニー(David Duchovny)が、「ロシア人であることは誇らしい」とうたうロシアのビールの広告に登場し物議を醸している。

 25日にユーチューブ(YouTube)で公開された同広告は「私の家系は別の国に由来している。そして時々思うことがある。もし物事が違う方向に進んでいたら、私がロシア人だったら、どうなっていただろうかと」と、ドゥカヴニーが思い描くシーンから始まる。

 そしてドゥカヴニーは空想の中でバレエの振付師、宇宙飛行士、ロックスター、アイスホッケーの選手などに扮(ふん)し、ロシア式サウナなどの伝統文化に浸る。最後は「ロシア人だったら、誇るべきことがたくさんあっただろう」という言葉で締めくくられている。

 ドゥカヴニーはこれまで、父親の家族はポーランドとロシアにルーツがあると語っていたが、4月には「自分はロシア系だと思って育ったが、最近ウクライナ系だということを知った。改めるのに遅すぎることはない」と述べていた。現在のウクライナの大半は、かつてのロシア帝国の一部だ。

■広告に対する様々な反応

 国防を監督する立場にあるドミトリー・ロゴジン(Dmitry Rogozin)ロシア副首相は、ツイッターに同広告へのリンクを張り、「何の広告かを忘れたら思い出してほしい。それは総じて愛でできているということを」とコメントしている。

 しかし米ニュースサイト「Globalpost.com」は、ウクライナでマレーシア機が撃墜された直後の「最悪のタイミングで公開された国粋主義的な広告」としながら、出演したドゥカヴニーを厳しく非難した。

 一方で、国営テレビ「ロシア24(Rossiya 24)」も、自身がウクライナ系であることを表明した後に同広告に出演したドゥカヴニーに批判的だ。「彼は自分がウクライナ系だと公言しても、なんの躊躇もなくギャラが高い(ロシアの)広告に出た」

 週末にかけてこの広告は、ロシアのSNSでトレンド上位に入り、再生回数は日本時間28日の時点で90万回を超えている。ユーザーのコメントには好意的なものも、ドゥカヴニーに対する批判もあった。

 あるSNSユーザーは「デヴィッド・ドゥカヴニーは完全におかしくなってしまったのだろうか?ジェラール・ドパルデュー(Gerard Depardieu)に続いてロシアのパスポートを取得するのは彼かもしれない」とのメッセージを投稿した。(c)AFP