【7月26日 AFP】中国・上海浦東国際空港(Shanghai Pudong International Airport)に隣接する広々とした格納庫には、巨大な中国国旗と作業員を鼓舞するスローガンが掲げられているだけで、肝心の機体は見当たらない。だが、ここは、中国が開発中の国産ジェット旅客機「C919」の最終組み立て場となる建物だ。

 C919は、座席数174席の狭胴型機で、最大航続距離は5555キロ。米航空大手ボーイング(Boeing)の主力小型旅客機「B737」や、欧州大手エアバス(Airbus)の主力小型ハイテク旅客機「A320」と競合することを目指した機体だ。

 中国にとって技術面で大きな挑戦となるが、プロジェクトが予定通り進めば、2015年末までに試作機が空に飛び立つ。

 大きな洞窟のような全長300メートルの巨大格納庫は、一度に6機を収容できる。もっとも、このほど外国メディア初公開となったC919製造設備の見学ツアーに参加したAFP記者によれば、主要な機体部品はまだ一つも最終組み立てラインに届いていなかった。

 それでも、開発を担う民間航空機メーカーの中国商用飛機(Commercial Aircraft Corp of ChinaCOMAC)は、中国政府から資金・政治の両面で100%の支援を受けており、プロジェクトは最終的に成功すると自信をみせる。開発費が幾らになるのかは不明だ。

 ボーイングによると、中国は今後20年で約6000機の旅客機を就航させる必要があるという。費用にして7800億ドル(約79兆円)に上る。中国政府は、この巨大市場の一部に国産機を投入したい考えだ。