【7月25日 AFP】韓国で今年4月に発生した旅客船セウォル(Sewol)号の沈没事故をめぐり指名手配されていた運航会社の事実上のオーナー、兪炳彦(ユ・ビョンオン、Yoo Byung-Eun)容疑者(73)の遺体の検視を行った法医学専門家らは25日、死因を特定できなかったことを明らかにした。

 遺体は先月12日に順天(Suncheon)の果樹園で発見されたが、その時点ですでに腐敗が相当に進んだ状態だった。周辺には酒類の空き瓶が複数あったことから、自殺を図ったものと推測されていた。

 しかし、検視を行った国立科学捜査研究院(National Forensic Service)の徐中錫(ソ・ジュンソク、Seo Joong-Seok)院長によると、毒性検査の結果は陰性で、何らかの薬物やアルコール、毒物を摂取していた痕跡はなかった。

 考え得る死因について院長は、腐敗がひどいために、他殺を含めた多数の可能性から特定することも、排除することも不可能だと述べた。

 警察が22日に遺体を兪容疑者のものと確認したと発表して以来、韓国ではソーシャルネットワーク上でこの遺体に関する臆測や陰謀説が飛び交っている。検視結果は、こうした状況をさらにあおることになりそうだ。

 ネットユーザーの中には、遺体は兪容疑者のものではなく、容疑者の身柄を確保できなかった自分たちの失態への批判をかわすために当局が仕込んだものではないかと疑う人たちもいる。(c)AFP