【7月25日 AFP】国連(UN)は24日、イラクのイスラム武装勢力が11~46歳の全ての女性に対し、女性器切除(女子割礼)を受けるよう命じたとの情報を得たと発表した。しかし、専門家の間からはこの情報の信ぴょう性を疑う意見が出ている。

 駐イラク国連職員のうち2番目の地位にあるジャクリン・バドコック(Jacqueline Badcock)人道調整官は、テレビ会議を通じてジュネーブ(Geneva)で記者会見を行い、同日朝にイスラム教スンニ派(Sunni)武装勢力「イスラム国(Islamic StateIS)」(旧イラク・レバントのイスラム国(Islamic State of Iraq and the LevantISIL))が女性器切除を命じるファトゥワ(宗教令)を出したとの情報を得たと発表。対象となる女性の正確な人数は把握していないと述べた。

 ISは先月、イラク国土の広範囲を制圧。厳格なイスラム原理主義を掲げる「サラフィスト(Salafist)」的なイスラム教の解釈を人々に強いるようになっている。

 しかし、ファトワの発令は作り話の可能性もあるとして、数人の専門家がこうした国連の見解に懐疑的な見方を示している。また、ジャーナリストらの多くもツイッター(Twitter)で、イラクにいる情報提供者は誰もそうしたファトワの発令を認識していないとコメントしている。

 また、米シンクタンク「ブルッキングス研究所(Brookings Institution)」の中東研究部門ブルッキングス・ドーハ・センター(Brookings Doha Center)の客員研究員で、イラクとシリアの過激派組織に詳しい専門家のチャールズ・リスター(Charles Lister)氏は、国連の主張は23日からインターネット上に出回り始めた「明らかに捏造(ねつぞう)された声明」に基づいているようだと指摘している。

 ジュネーブの国連報道官はAFPに対し、イラクでは現在、事実確認が行われていると述べている。(c)AFP