【7月24日 AFP】ドイツの政治家が23日、ウクライナでの紛争に油を注ぐロシアから2018年W杯(2018 World Cup)の開催権を剥奪するよう求めた。しかしながら、国際サッカー連盟(FIFA)はこれを拒否した。

 ウクライナ上空でマレーシア機が撃墜されたとみられる事件に対して、憤りの声が上がっている中、ドイツをはじめ英国やスウェーデンの国会議員や政治評論家は、世界的なスポーツイベントであるW杯をほかの国で開催するように提案した。

 ドイツ中部ヘッセン(Hesse)州選出のピーター・ベウト(Peter Beuth)内相は、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領が、「マレーシア機墜落の調査に積極的に関与しないのであれば、2018年W杯のロシア開催は到底考えられるものではない」と述べ、FIFAに対して開催国の見直しを迫った。

 また、保守派議員の高官ミハエル・フクス(Michael Fuchs)氏も、ドイツはフランスやイタリアと並び大会を主催できる余裕があると主張した。

 同議員は、「われわれには、W杯に備えられる十分な会場がある」と述べ、こうしたボイコットがロシアにとって経済制裁以上の痛手になると強調した。

 もう一人の保守派国会議員シュテファン・マイヤー(Stephan Mayer)氏も、もしプーチン大統領が「この危機を収束させず、扇動し続けるのであれば、ロシアからW杯を奪うことは、もはや禁忌の策ではない」と述べた。

 しかしながら、現在はFIFAの理事で、ドイツサッカー連盟(Deutscher Fussball-BundDFB)の元会長であるテオ・ツバンツィガー(Theo Zwanziger)氏は、その考えを却下した。

 ツバンツィガー氏は、独経済紙ハンデルスブラット(Handelsblatt)のウェブサイトで、「FIFAの介入を求める声は、常に即座に上がってくるが、これまでスポーツ界のボイコットが何かを解決したことはほとんどない。従って、そのような提案は一切考慮しない」と語った。

「W杯の開催国は、ロシアに決定している。契約は成立しており、権利は同国にもたらされた」

 ドイツ政府の報道官もまたこの問題を退け、W杯について「まだ4年も先の話であり、目の前には、もっと切迫した問題がある」と述べた。(c)AFP