【7月24日 AFP】イヌは、飼い主が「他のイヌに見える物」と遊んでいると焼きもちを焼くとの研究論文が23日、米オンライン科学誌プロスワン(PLOS ONE)に掲載された。研究結果は、嫉妬の感情が生存本能に根差している可能性があることを示唆しているという。

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 米カリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California, San Diego)などの研究チームは、イヌ36匹とそれぞれの飼い主を対象に実験を行った。実験ではイヌの前に置かれた3つの異なる物と遊ぶよう飼い主に指示が出された。

 1つ目は、ボタンを押すとほえたりしっぽを振ったりするおもちゃのイヌだ。飼い主には、本物のイヌと遊ぶのと同じようにイヌのおもちゃと1分間接するよう指示された。

 2つ目は、ハロウィンカボチャのおもちゃのバケツだ。これも同様に、飼い主には本物のイヌと遊んでいるように演技させた。

 3つ目は、開くと絵が飛び出し、曲が流れる子ども向けの絵本。飼い主にはあたかも小さな子どもに対して、お話を読み聞かせるよう絵本を音読させた。

 実験の結果、飼い主がおもちゃのイヌと遊ぶ場合、その他の物と比較して、イヌにはある特定の行動がはるかに多くみられることが確認できた。

 例えば、かみつく、飼い主やおもちゃのイヌを押す、飼い主とおもちゃのイヌの間に割り込もうとするなどの行動は、他の2つに比べて発生する割合が高かった。

 イヌが飼い主を押す行動は、飼い主がおもちゃイヌと遊んだ場合の78%でみられたが、これはハロウィンカボチャの場合は42%、絵本では22%にすぎなかった。

 また飼い主とおもちゃのイヌの間に割り込もうとする行動は全体の約30%でみられ、おもちゃのイヌにかみつく行動は25%だった。

 実験では、ダックスフント、ポメラニアン、ボストンテリア、マルチーズ、パグを含むさまざまな犬種が対象となった。半数近くは雑種だったという。

 研究を率いた研究者の1人、カリフォルニア大のクリスティーヌ・ハリス(Christine Harris)氏は「われわれの研究は、イヌが嫉妬によるものと思われる行動を実際にとるということだけでなく、飼い主とライバルと思われる物(者)の間のつながりを断とうとする意思があることも示唆している」と語る。

「イヌの主観的体験については言及できないのは確かだが、そこには重要な社会的関係を守りたいという動機が働いているように思われる」

(c)AFP