【7月22日 AFP】イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)で続けている軍事作戦に反対しドイツ国内でここ数日にわたり行われている抗議デモについて、同国のユダヤ人たちは21日、「ユダヤ人に対する邪悪で暴力的な憎悪」が急激に広がっていると非難した。

 ドイツメディアによると、ベルリン(Berlin)のデモでは、パレスチナの旗と故ヤセル・アラファト(Yasser Arafat)前パレスチナ解放機構(PLO)議長の写真を掲げた参加者らが「アッラー・アクバル(アラーは偉大なり)」、「イスラエルに死を」、「シオニストはファシストだ。子どもや民間人を殺している」などと叫んだ。

 イスラエルの日刊紙ハーレツ(Haaretz)は、ベルリンのあるイマーム(イスラム教導師)が今月17日の説教の中であけすけにユダヤ人シオニストの撲滅を呼び掛け、アラーに「最後の1人まで殺す」よう訴える動画をインターネットで公開した。米ユダヤ人委員会(American Jewish CommitteeAJC)はこのイマームの氏名を特定し、ドイツの検察当局に捜査を要請した。

 ドイツ・ユダヤ人中央評議会(Central Council of Jews)のディーター・グラウマン(Dieter Graumann)議長は声明で、「われわれはこの国で今、ユダヤ人に対する邪悪で暴力的な憎悪が急激に広がっていると感じており、全員が非常に驚くとともに動揺している」と表明。ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)という罪を犯したドイツで強まる憎悪に対し「政治家やメディア、市民社会が、明確で強い反対の声」を上げるよう求めた。

 ガザ攻撃に抗議する集会はドイツ以外の欧州各地でも開かれており、フランスでは一部が暴徒化して数十人が逮捕された。(c)AFP