【7月19日 AFP】親ロシア派が支配しているウクライナ東部の上空を飛行中に撃墜されたとみられるマレーシア航空(Malaysia AirlinesMH17便の墜落現場に18日、欧州安保協力機構(OSCE)の監視員が入った。しかし、「監視員ら自身の」安全のためとして、親ロシア派の武装勢力は長時間の滞在を認めなかった。

 スイスのトーマス・グレミンガー(Thomas Greminger)OSCE担当特別代表(大使)によれば、17人の監視員はおよそ1時間15分間、現場に滞在したものの、安全上の理由ですでにドネツク(Donetsk)市に退去したという。墜落前からウクライナに入り戦闘の状況を監視していたOSCEの監視員らは墜落原因の調査は行っておらず、撃墜現場の保全と遺体収容作業を監視したいとしている。

 一方、オランダ通信(ANP)によると、同国のフランス・ティメルマンス(Frans Timmermans)外相もすでに、調査員15人と共にウクライナの首都キエフ(Kiev)に到着した。

 地元当局によれば、現場からはこれまでに182人の遺体が収容された。AFPの取材班は、現場には乗客らのものとみられる切断された人体の一部が多数、散乱していると伝えている。また、地元の救助隊員らはAFPに対し、同機のブラックボックスのうち少なくとも1つが発見されたと述べたが、その後の所在は不明となっている。

 ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は、墜落の責任はウクライナにあるとの見解を示した一方、「長期的な平和」の実現に向けてウクライナのペトロ・ポロシェンコ(Petro Poroshenko)大統領と連絡を取っていることを明らかにした。

 ウクライナの分離独立派の指導部は、墜落機の調査を目的とした停戦の可能性を否定している。同国では18日も激しい戦闘が続き、地元当局によると、親ロシア派の支配地域でMH17便が墜落した地点から約100キロ北東にあるルガンスク(Lugansk)で市民20人が死亡した。(c)AFP/Stephane ORJOLLET with Max DELANY in Kiev and Stephen COLLINSON in Washington