【7月18日 AFP】アジアの熱帯地域に生息する鳥は赤色と黒色を好む傾向があり、これが誘因となってジャングルの植物が赤や黒の色をした果実を実らせるようになった可能性が高いとする研究論文が17日、英科学誌ネイチャー(Nature)系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に掲載された。

 天然の果物に赤や黒の色合いをしたものが非常に多い原因の一部は、それらを食べて種を拡散させる鳥の色の好みにあるとする説は、長年にわたり唱えられてきた。

 中国の研究チームは今回、鳥には本当に色の好みがあるのかどうかを最終的に明らかにすることで、この仮説の検証を試みた。

 匂い、形、味の影響を排除するため、研究チームはリンゴ、西洋ナシ、バナナ、小麦粉とトウモロコシの粉を混ぜ合わせて丸め、小さな玉にしたものを無味の食品着色料を用いて黒、赤、黄、緑、青に着色した人工果実を作製した。

 次に研究チームは、中国南西部シーサンパンナ(Xishuangbanna)の熱帯を原産とするブルブル(ヒヨドリ)とゴシキドリの仲間数種の前にこれらの人工果実を置いた。

 実験では、野生で捕獲された鳥と人の手で飼育された鳥の両方に、食べたい果実を自由に選ばせた。

 その結果、全ての鳥が最も好んだのは赤の果実で、黒がこれに続いた。また緑の果実は全ての鳥が敬遠した。自然界では通常、緑色の果物の種は昆虫や他の飛ばない動物によって拡散される。

 本物の果実を用いて行った実験でも同様の結果が得られた。

「こうした好みは時間がたっても変わらず、鳥の色の好みは熱帯アジアで果実の色の進化を促進する要因の一つになっているとする仮説を裏付けている」と研究チームは論文に記している。(c)AFP