【7月16日 AFP】3Dプリンターで自らの女性器を造形できるデータを頒布したとして、わいせつ電磁的記録頒布の容疑で東京都在住のアーティストが逮捕されたことについて、支持者たちの間では表現の自由に対する攻撃だとの抗議の声が上がっている。

「ろくでなし子(Rokude Nashiko)」の名前で活動している五十嵐恵(Megumi Igarashi)容疑者(42)は、自らの女性器をかたどったカヤックを3Dプリンターで製作する費用に充てるため、インターネット上で不特定多数から資金を募るクラウドファンディングの手法で約100万円を集め、寄付の見返りに問題の3Dプリンター用データを提供していた。

 日本はポルノ産業が盛んなことで知られているが、実際の性器の表現は法律で禁止されており、画像やビデオでは通常は検閲で削除されるか、モザイクがかけられる。

 五十嵐容疑者の支持者たちは警察が法律を異常なほど拡大解釈して適用したと主張して、衝撃を受けたと話している。同容疑者は12日に逮捕され、15日現在も勾留されている。

 作家の北原みのり(Minori Kitahara)氏は、警察が五十嵐容疑者の事務所を家宅捜索して同容疑者の作品20点を押収したと明らかにするとともに、日本は男性の性的関心には過度に寛容である一方、女性の性的関心の表現はいまだに抑圧されている社会だと指摘した。

 日本ではようやく先月になって児童ポルノの単純所持が違法となったが、表現の自由を守れとの呼びかけを受けて、成人及び子ども向けの漫画、アニメ、コンピューター・グラフィックは規制の対象から外された。

 各国の活動家は、日本が児童ポルノの世界市場の主な供給源になっているとして、児童ポルノにもっと厳しく対応するよう以前から日本に求めていた。

 五十嵐容疑者の弁護士によると、同容疑者は有罪になれば2年以下の懲役、または250万円以下の罰金が科される可能性がある。(c)AFP