【7月15日 AFP】生活習慣の見直しと改善により、世界の数百万人がアルツハイマー病の発症を予防できるとした研究論文が、14日の英医学専門誌「ランセット・ニューロロジー(Lancet Neurology)」に掲載された。

 アルツハイマー病について専門家の間では、遺伝子と環境の両方と関係があると考えられている。

 人口の急増と高齢化によって、2010年に約3000万人だったアルツハイマー患者は、2050年までに1億600万人以上に達すると予想されている。

 英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)のキャロル・ブレイン(Carol Brayne)教授(公衆衛生)率いる研究チームは、この病気との強い関連性が示されている、糖尿病、中年期の高血圧および肥満、運動不足、うつ病、喫煙、低学歴といった7つのリスク要因に着目した。

 研究では、これら各要因をそれぞれ10%軽減できれば、2050年の世界のアルツハイマー病有病率は8.5%減少、900万人の発症を防ぐことができるとした。

 2011年の予想では、アルツハイマー病患者のおよそ半数は、生活習慣の改善などで発症を未然に防ぐことができるとしていたが、今回の研究では、これらリスク要因が複雑に絡み合っているとして、この予想値は楽観的過ぎるとしている。

 例えば、糖尿病や高血圧、肥満は、運動不足と関連しており、さらにこれら全ての項目は低学歴によってもたらされた可能性がある、といった具合だ。

 ケンブリッジ大が発行したプレスリリースで、ブレイン教授は「認知症を防ぐ画一された方法はないが、高齢期の認知症の発症リスクを減らすために策を講じることは可能だ」と述べ、「運動不足を改善することで、肥満や高血圧、糖尿病の発症リスクを軽減できる。またその一部で認知症の発症を防ぐことができるかもしれない。何一つ悪いことはない」と説明している。(c)AFP