【7月11日 AFP】地球温暖化により暑い日が増えるとともに汗をかいて脱水症状になるケースの増加が予想されるが、10日の米医学誌エンバイロメンタル・ヘルス・パースペクティブス(Environmental Health Perspectives)に掲載された研究論文は、脱水症状の増加が腎臓結石を急増させる主要な危険因子になると指摘している。

 米フィラデルフィア小児病院(Children's Hospital of Philadelphia)などの研究チームは、米アトランタ(Atlanta)、シカゴ(Chicago)、ダラス(Dallas)、ロサンゼルス(Los Angeles)、フィラデルフィア(Philadelphia)の各都市で腎臓結石患者6万人の医療記録を調べ、暑い日と腎臓結石との関連性を明らかにした。

 論文の主執筆者で、同病院の小児泌尿器科医師・疫学者のグレゴリー・テージャン(Gregory Tasian)氏は、「日々の気温が上昇すると、その後の20日間で患者が腎臓結石を発症する確率が急増することが分かった」と語る。

 日平均気温が10度を超えると、腎臓結石発症リスクはロサンゼルス以外の全都市で著しく増加した。

 研究チームは、日平均気温10度と30度での腎臓結石リスクを比較。アトランタで38%、シカゴで37%とそれぞれ増加したことを確認し、高気温が同リスクに関連していることを発見した。

 同様の腎臓結石リスクは、ダラスで37%、フィラデルフィアで47%増加していた。ロサンゼルスは他よりも増加の割合が小さく、高気温日のリスク増加率は11%だった。

 また高気温から3日以内に腎臓結石を発症するケースが最も多かった。

 腎臓結石は、尿に含まれるカルシウムやリンなどの物質が高度に濃縮されると発生する。十分な量の水分を摂取できないことにより、この問題が深刻化する恐れがある。

 米国における腎臓結石患者の割合は、全人口の約10%とみられている。腎臓結石は女性より男性に多く見られる。

 テージャン氏は「これらの調査結果は、地球規模の気候変動に関連する公衆衛生への潜在的影響を指摘している」と述べた。

 近年、すでに世界の気温が20世紀の平均よりも日常的に高くなっており、今後も温暖化がさらに進行することが予測される状況において、専門家らは腎臓結石がますます増える可能性があるとみている。

「腎臓結石の患者数はすでに過去30年にわたって増加傾向が続いており、日々の気温が上昇している中、この傾向は患者数の増加と地理的地域の拡大の両面で今後も続くものと予測される」とテージャン氏は説明した。(c)AFP