【7月10日 AFP】オランダの学生ボヤン・スラット(Boyan Slat)さんは、弱冠19歳にして太平洋(Pacific Ocean)に浮かぶ何千トンもの有害なプラスチックごみをすくい上げる画期的な計画を考案し、そのプロジェクトにはすでに100人もの人たちが参加している。

 世界の海に50万トンあるいは数百万トンも浮かんでいるとされるプラスチックごみは、「プラスチックのスープ」とも呼ばれ、その大部分が5大環流の中で渦を巻いており、漁業や観光業に毎年、数千億円もの損害を与えている。プラスチックごみは海洋生命を奪い、海洋生物が摂取すると食物連鎖に入り込み、イルカや鯨をも巻き込む。

 これまで出されてきた対策案のほとんどは海洋に船を走らせてゴミをすくい上げるというものだが、スラットさんは、海流の力を利用してプラスチックを回収する画期的方法を思いついた。

「待っていれば流れてくるのに、なぜプラスチックを追いかける必要があるのでしょうか」。スラットさんは、AFPの取材にこう語った。

 スラットさんの設計では、それぞれ全長50キロの浮きアーム2本を「V」の形に浮かべて海底に係留させ、そのアームから、皮肉にも強化プラスチックでできたカーテンを、海面下約3メートルまでぶらさげる。

 海流がゴミを「V」の中に押し込み、その端に浮かぶ直径11メートルの円筒形プラットホームにまで送る。プラットホームは、五輪サイズのプール容量よりも多い最大3000立方メートル分のプラスチックを収容でき、これは最終的に船で回収される。大きなプラスチックごみは、太陽光発電のベルトコンベヤーによって、円筒形プラットホームに入るサイズに細かく切断される。

 青い目のぼさぼさ髪のスラットさんは、両親と同居しながら大学で航空工学を専攻していたが、ギリシャでスキューバダイビングをした時にこのアイデアを思いついたという。「海の中には、魚よりプラスチックの方がたくさんあった」

 2012年末に初めてこの案を発表した時には、まさか実現するとは思わなかった。現在、世界各国から集まった100人が、スラットさんのプロジェクトに取り組んでいる。中には、フルタイムで協力する人も何人かいる。