【7月8日 AFP】岸田文雄(Fumio Kishida)外相は8日、東シナ海(East China Sea)での領有権をめぐる対立や、日本政府の集団的自衛権の行使を容認する閣議決定で日中間の緊張が高まる中、広島と長崎から原子爆弾のきのこ雲が上がる日本地図を中国の新聞が掲載したことを厳しく批判した。

 中国共産党の青年組織、共産主義青年団(Communist Youth)系の新聞「重慶青年報(Chongqing Youth Daily)」がマイクロブログ「新浪微博(Sina Weibo)」の公式アカウントに投稿した内容によると、同紙は前週、「日本は再び戦争をしたがっている」というタイトルが付いた全面広告の中でこの地図を掲載した。広告の掲載主は不明で、現在はすでに公式サイトで閲覧できなくなっている。

 時事通信(Jiji Press)によると、岸田外相はこの広告に対し「誠に不見識だ。唯一の戦争被爆国の外相として、被爆地広島出身の政治家として容認できない」と厳しく批判した。また在重慶(Chongqing)日本国総領事館を通じて掲載の事実を確認した上で、事実ならば正式に抗議するよう指示したことを明らかにした。さらに岸田外相は「安倍首相は『日本が再び戦争をする国になることは断じてあり得ない』と明言している。日本の平和国家としての歩みに一切変わりはない」と反論した。

 集団的自衛権の行使を容認するために安倍内閣が前週、憲法解釈を変更したことについて、重慶青年報は最近の論説で「集団的自衛権の足かせを外すことは、殺人者の手に刀を返すことに等しい」と激しく非難し、中国は40年以上にわたって対日政策で「寛容すぎた」と主張している。(c)AFP