【7月8日 AFP】競争、プレッシャー、嫌がらせ──労働関連の法整備が進んでいるといわれるフランスで、職場で繰り返される「容赦のない」精神的危機に直面するホワイトカラー労働者が増えている。

 専門家らによると、特にサービス業で働く労働者の間で、うつ病や長引く病気、極度の疲労で仕事への意欲を失う「燃え尽き症候群」、さらには自殺が増えている。

 ファビエンヌ・ゴドフロアさん(41)は、フランス南西部トゥールーズ(Toulouse)の職場で2年間にわたり、性的、精神的な嫌がらせを受けた。重度の拒食症になって体重が30キロ減り、パラノイア(妄想症)を患った。

 ゴドフロアさんは、主任や上司から絶えず付きまとわれたり、会議でわいせつな言葉を浴びせられたりしたほか、自宅に匿名のわいせつ電話がかかってきたりして、自分が「追われている動物」のように感じたという。

「仕事が原因で死にたいと思うこと。ええ、実際にあることよ」と話すゴドフロアさんは、勤めていたフランス郵政公社を数か月前に辞め、今は2人の精神科医による観察のもと、治療を受けている。

 こうした状況はゴドフロアさんに限ったことではない。仏通信大手のオレンジ(Orange 、2013年7月1日に社名をフランステレコムから現社名に変更)で、2008~09年に従業員35人が相次いで自殺し、フランスの職場におけるストレスの深刻さが鮮明になった。

 自殺した人たちの一部は職場で命を絶った。大半の人が遺書を残していて、管理者に対する「恐怖」や、技能を無視した配置転換による精神的打撃など、批判がつづられている。

 ある男性従業員はコールセンターに回された後、橋から飛び降りた。会議で担当業務がなくなると知った男性技術者がその場で自殺を図った数日後、32歳の女性が職場の窓から飛び降りたケースもある。