【7月6日 AFP】ニュージーランド航空(Air New Zealand)は6日、機長が飛行中に副操縦士をコックピットから閉め出したことを受けて、2人に停職処分を下したことを明らかにした。

「事件」が起きたのは今年5月21日。タスマン海(Tasman Sea)の上空を飛び、豪パース(Perth)とニュージーランド・オークランド(Auckland)を結ぶ便の機内でのことだった。離陸前に、副操縦士が無作為に選ばれる薬物・アルコール検査の対象になったことから同便には遅延が生じており、機長と副操縦士の間に「ある種の緊張」があったという。

 同航空の運航安全部門のエロール・バーテンショー(Errol Burtenshaw)マネジャーは6日、AFPに宛てた文書で、「自分の運航効率にプライドを持っていた機長は、この遅延にいら立っていた」と説明した。

 同便の夜間のフライト中、副操縦士はトイレに行くため席を立ち、その後ギャレー(機内のキッチン)で客室乗務員らとコーヒーを飲んで休憩した。

 副操縦士は休憩を終えて操縦室に向かい、客室乗務員が「副機長がハイジャック防止用のドアの前にいるのでドアを開けてほしい」と機長に伝えようとしたが、約2分間にわたって繰り返し呼び掛けても機長からの応答はなく、ドアが開けられることもなかった。

 バーテンショー氏は、「機体がウェイポイント(航空機がその上空を通過すると定められた地点)に接近していた上、コックピットのモニターに映っていたのは副操縦士ではなく客室乗務員だったため、機長は応答もドアを開けることもしなかった」としている。

「副操縦士は、機長が応答しないため心配になり、別の方法で操縦室に戻った」という。バーテンショー氏によると、同社はこの問題に関する調査を実施。航空当局に結果を報告した。

 この問題を受け、機長は2週間、副操縦士は1週間の停職処分を受けた。さらに2人ともカウンセリングと臨時の訓練を受けたほか、機長と意思の疎通ができないことで「とても不安な思いをした」客室乗務員にもカウンセリングが提供された。(c)AFP