【7月3日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は2日、地球温暖化に関与する主要な温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)追跡を目的とする衛星の打ち上げに成功した。

 軌道上炭素観測衛星2(Orbiting Carbon Observatory-2OCO-2)はデルタ2(Delta 2)ロケットに搭載され、現地時間午前2時56分(日本時間同日午後6時56分)に米カリフォルニア(California)州のバンデンバーグ空軍基地(Vandenberg Air Force Base)より打ち上げられた。

 今回の打ち上げ成功は、NASAにとって何よりの朗報だ。地球科学探査機の打ち上げはこれまでに2回試みられたが、2009年の炭素観測衛星、2011年のエアロゾル観測衛星はともにロケットの故障が原因で失敗に終わっていた。

 今回のOCO-2についても、当初は1日の打ち上げが予定されていたが、直前に見つかった打ち上げ台に関する問題で中止された。

 NASAの打ち上げの責任者、ティム・ダン(Tim Dunn)氏は、OCO-2の太陽電池パネルは予定通りに展開したという「非常に良い知らせ」をチームは受け取っていると説明し、管制センターの雰囲気を「純粋な喜び」一色だと表現した。

 OCO-2は、これまでに各国が打ち上げた地球監視衛星5基からなる衛星群「A-Train」に新たに参加する。

 運用期間は2年。CO2の自然発生源──CO2が地球の表面のどこから発生してどこに吸収されるのか──についての、これまでで最も詳細な実態を把握することを目的としている。

 NASAは「この観測衛星は、これらの発生源と吸収源が地球全体にどのように分布しているのか、そして時間とともにどのように変化するのかを詳しく調べる予定だ」と説明した。

 NASAによると、石油や石炭の燃焼といった人間の活動により、毎年400億トン近くのCO2が大気中に放出されるという。

 その約半分は、森林や海に吸収される。だが、炭素がどこで、どのようにして吸収されているのかについてはまだ詳細には分かっておらず、また将来のCO2の増加が地球の気候に及ぼす影響を予測する方法などについても、いまだ科学的にほとんど解明されていない。

 NASAのジェット推進研究所(Jet Propulsion LaboratoryJPL)でOCO-2科学チームを率いるデービッド・クリスプ(David Crisp)氏は「大気中のCO2濃度の管理を向上させるためには、自然界の発生と吸収のプロセスを評価できるようにする必要がある」と述べている。(c)AFP/Kerry SHERIDAN