【7月3日 AFP】禁止薬物の使用により、出場停止処分を受けている米大リーグ、ニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)のアレックス・ロドリゲス(Alex Rodriguez)が、少なくとも一時期、大リーグ機構(MLB)に免責を申請し、許可を得た上で成績向上のための薬物を使用していたことが明らかになった。

 新刊書『Blood Sport: Alex Rodriguez, Biogenesis and the Quest to End Baseball's Steroid Era(血のスポーツ:アレックス・ロドリゲス、バイオジェネシス、そして野球におけるステロイド時代終焉の探求)』によると、ロドリゲスはア・リーグ年間最優秀選手(MVP)に選出された2007年シーズン開幕前に、(テストステロンが減少する)性腺機能低下症を治すため「治療目的の使用に対する免責(TUE)」を得ていたという。

 前述の書籍の概要は2日、スポーツ・イラストレイテッド(Sports Illustrated)誌の公式ウェブサイトに掲載された。

 それによると、「2007年には1354人の選手が検査の対象となり、111人がTUEを得た。そのうち、おそらくロドリゲスを含む2選手のみが、テストステロンの使用を含むとみられる『男性ホルモン不足に対する薬物治療』の免責を得た」としている。

 38歳のロドリゲスは、バイオジェネシス・スキャンダルの一端を担ったとして、2014シーズン全試合の出場停止処分が科されている。

 また前掲書によれば、ロドリゲスは2008年にも、ほかに2つのTUEを申し出ていた。そのうち、テストステロンの不足に対する治療の方は許可されたが、体重減少薬を使用するとみられるもう1つについては、許可が下りなかった。

 書籍では「2008年には3人の選手に対し、性腺機能低下症の治療のための薬物を使用する許可が与えられた。さらに2006年から2013年にかけて、男性ホルモン不足と性腺機能低下症について許可が下りたのは15例しかない。この条件を満たした選手は、MLBの薬物に対する指針に基づいた上で、治療目的でのテストステロンの使用が認められる」と書かれている。

 MLBは2日、TUEを与えた判断は間違ってはいないと主張し、「MLBの共同薬物プログラムに基づくTUEの手順は、世界アンチ・ドーピング規程に基づく手順に相当するものだ」と声明を発表した。

「TUEを得て、成績向上物質に指定される薬物を用いた治療を受けるには、厳しい基準を通過しなければならない。(プログラムの独立管理者から)TUEが発行されるのは、各年わずか数例しかない」

「MLBと選手会(Major League Baseball Players AssociationMLBPA)は、毎年TUEの手順を見直し、発行の基準を最新の状況に合わせて調整している」

 ロドリゲスは2007年、54本塁打と156打点の成績を残し、自身3度目のア・リーグMVPを受賞している。そしてそのオフには、10年総額2億7500万ドルでヤンキースとの契約を延長した。(c)AFP