【7月1日 AFP】政府は1日の臨時閣議で、従来の憲法解釈を変更して武力行使に関する制限を緩め、集団的自衛権の行使を容認することを決定した。平和主義を憲法の基本原則とする日本にとって大きな岐路となる。

 記者会見した安倍晋三(Shinzo Abe)首相は「いかなる事態においても、国民の命と平和の暮らしは守り抜いていく。内閣総理大臣である私には、その重大な責任がある。その決意の下、新しい安全保障法制の整備のための基本方針を閣議決定した」と述べた。

 一方で、アフガニスタンやイランといった国外の軍事衝突に日本が引きずり込まれる可能性が生じるという批判に対し、説得するように「『外国を守るために日本が戦争に巻き込まれる』という誤解がある。しかし、そのようなことはありえない。(今回の閣議決定は)国の存立を全うし、国民を守るために必要な自衛の措置を取るためのものだ」と語った。

 集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈変更に対する世論の反対は広がっており、先月29日には東京で中年男性が焼身自殺を図った。

 また日本は戦時中の行為に対する償いをしていないと非難する中国や韓国との緊張をあおる可能性もある。

 安倍首相は当初、第2次世界大戦後に米国による占領下で施行された日本国憲法の第9条を改憲し「武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」の部分を変更しようとしていた。しかし、改憲発議に必要とされる国会議員の3分の2の賛成と、国民投票での承認が得られそうにないことから、第9条の解釈の変更に方針を変えた。

 新たな解釈の下では、米国を主とする同盟国が共通の敵から攻撃された場合、日本が攻撃対象となっていない場合でも、自衛隊は同盟国の支援に出動することが可能となる。(c)AFP