【7月1日 AFP】米国市場での積極的な店舗拡大を目指すファーストリテイリング(Fast Retailing Co)傘下のカジュアル衣料品店「ユニクロ(UNIQLO)」。その目標を達成するには、今後さらに多くの計画を練る必要があるが、1つだけ明確なのは、沿岸部を起点に店舗展開を進めるということだ。

 これまでユニクロの米国の店舗展開はボストン(Boston)やサンフランシスコ(San Francisco)、ロサンゼルス(Los Angeles)など、沿岸部の都市に限定されてきた。だが、世界一のアパレル製造小売業を目指し、米国を重要市場と位置付ける同社にとって、この国で存在感をさらに高めることは必須だ。

 ユニクロは2013年時点で10店舗未満の米国の店舗数を、14年中に約40店舗、20年までに200店舗へと拡大する計画を掲げている。ユニクロの米国法人、ユニクロUSA(Uniqlo USA)の最高経営責任者(CEO)、ラリー・マイヤー(Larry Meyer)氏は「店舗を今よりも大幅に拡大する。内陸部にも進出したい」と述べる。

 ユニクロの知名度は、ニューヨーク(New York)のグローバル旗艦店を知る人が多い北東部とアジア系住民が多い西海岸で高い。

 世界の衣料品大手には、「ザラ(ZARA)」を展開するスペインのインディテックス(Inditex)やスウェーデンのH&M(Hennes & Mauritz)、米国の「ギャップ(GAP)」などが名を連ねており、売上高ではユニクロが後れを取っている。

 ユニクロの代表取締役会長兼社長、柳井正(Tadashi Yanai)氏は、米国を、中国や東南アジア並ぶ重要な成長市場と位置付け、世界全体の売上高を20年までに5兆円と、13年の5倍に増やし、業界1位に浮上することを狙っている。

 ユニクロが誇るのは高い商品開発力だ。保温機能のある薄手のインナー、「ヒートテック(heattech)」や、テニス選手のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic)が着用し、高い吸汗、消臭機能を持つウェアなどを生み出してきた。

 大きな目標を掲げる同社だが、金融情報サービス会社モーニングスター(Morningstar)のアナリストは、マンハッタン(Manhattan)5番街(Fifth Avenue)のような場所で多くの顧客を引き付けることが、ユニクロに課された課題の一つとし、ギャップやH&Mなど、競合他社が既にシェアを確立している市場への参入は簡単なことではないと指摘している。(c)AFP/John BIERS