【6月30日 AFP】最新の「過冷却」技術を用いて、ラットの肝臓の虚血許容時間(臓器摘出から移植までに許される時間)を以前の3倍に延長したとの研究論文が、29日の英医学誌「ネイチャー・メディスン(Nature Medicine)」に掲載された。人間の移植用臓器不足の緩和に向けた期待を高める成果だという。

 米マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)医用工学センター(Center for Engineering in Medicine)などの研究チームが開発したこの新手法では、酸素と栄養素を大量に送り込んだ肝臓を、凍結防止剤を含む溶液中に保存した状態で冷却する。肝臓は0度未満の温度でも凍らず、細胞の損傷が起こらないように保存できる。

 この方法を用いて、3日間(72時間)過冷却した肝臓を移植されたラットは、すべての個体が生存率の基準である3か月が経過した後も健康な状態だった。

 論文によると、96時間保存した肝臓を移植されたラットの58%が、生存率の基準とされている3か月後まで生き延びたという。

 論文の共同執筆者の1人で、同センターのコルクト・ウィガン(Korkut Uygun)氏は「われわれの知る限り、保存後に移植が成功した臓器の保存時間としては、今までに達成された中で最長の保存時間」と語る。

「これを人間の臓器で行うことができれば、臓器を世界規模で共有できることになり、世界的な臓器不足を緩和する助けになるかもしれない」

 既存の技術では、人間の肝臓を良好な状態で保存できるのは、体外に取り出してから約12時間後までが限界だ。

 1980年代以降、ドナー(臓器提供者)の臓器は、代謝と臓器の損傷を抑える溶液の中で、凝固点もしくはそれよりほんの少し高い温度で保存されていた。研究中の新手法では、臓器を保護し凍結を防止する成分が保存溶液に追加された。