【6月28日 AFP】欧州連合(EU)は27日、ベルギー・ブリュッセル(Brussels)で首脳会議(EU理事会)を開き、約19年にわたってルクセンブルク首相を務めたジャンクロード・ユンケル(Jean-Claude Juncker)氏を次期欧州委員長に指名した。

 欧州統合推進派のユンケル氏の指名に強硬に反対していたデービッド・キャメロン(David Cameron)英首相は「欧州にとって悪い日」だと述べ、来年の総選挙でキャメロン氏率いる保守党が勝利すれば2017年に行われることになっているEU離脱の是非を問う国民投票に向けて、英国のEU残留を目指している自身の努力が妨げられる恐れがあると語った。

 キャメロン氏は全会一致の慣例を破って異例の採決実施を求めたが、ユンケル氏の指名に反対したのはEU加盟28か国のうち英国とハンガリーだけだった。

 英国政府の一部からユンケル氏について途中で意見を変えたとして批判されているドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相はユンケル氏の経験を称賛した一方、加盟各国の首脳に英国との「歩み寄り」を呼び掛け、「英国がEUに残ることが非常に重要だと考えており、その考えに立って努力していく」と述べた。

 先月投票が行われたEUの欧州議会(European Parliament)選挙で、英国では反EUを掲げる英国独立党(UK Independence PartyUKIP)が歴史的な勝利を収めた。EUの主な人事を決める来月のEU首脳会議では英国に主要ポストを与えてその姿勢の軟化を図るものとみられている。しかし国民投票を前に英国ではEU懐疑論がさらに高まる可能性がある。 

 キャメロン氏は、一部がEUに移譲された加盟国の主権を各国に戻すことなどEUの改革を推進すると断言し「長く厳しい闘いになる」と述べた。またキャメロン首相はユンケル氏を「その経歴を通してブリュッセルのインサイダー」だった人物と評しつつも、ユンケル氏とは協力していくと述べた。(c)AFP/Katherine HADDON