【6月26日 AFP】米軍が撤退したアフガニスタン南部地域で、旧支配勢力タリバン(Taliban)の戦闘員800人以上が大規模な攻撃を開始した。当局が25日明らかにした。過去5日間の戦闘で、民間人40人が死亡したという。

 内務省によると、一連の衝突でタリバン戦闘員約100人が死亡したという。同国では、ハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領の後任を選ぶ14日の選挙で不正疑惑が浮上し、政治危機に直面している。

 米国主導の北大西洋条約機構(NATO)部隊が撤退を進める中、タリバンと相対するアフガニスタンの治安部隊が抱える課題が改めて露呈した形となった。

 当局によると、アヘンの生産が盛んで、過去13年に及ぶ激しい戦闘が続いてきたヘルマンド(Helmand)州サンギン(Sangin)を中心に、タリバンの戦闘員約800人が攻勢に出ているという。

 米軍部隊は先月、サンギンからの撤退を完了しており、撤退後の基地はアフガニスタン政府軍に引き継がれている。

 同州知事の報道官はAFPに対し、「先週19日夜、約800人の戦闘員が州内4地区への襲撃を開始」し、「政府軍の兵士少なくとも21人が死亡した。民間人も40人近く死亡している」と述べた。また、2000世帯が避難した4地区では、タリバン勢力の鎮圧に当たるため、治安部隊員の増派が行われたという。

 米軍主導のNATO部隊撤退に伴い、多くの国民はタリバンの再台頭を強く懸念しているが、アフガニスタン政府とNATOは、政府軍と警察が徐々に力をつけてきていると主張している。(c)AFP/Mamoon Durrani