【6月20日 AFP】異なる王国や部族間で生き残りや権力をかけ、壮絶な戦いを繰り広げた古代人は、他の古代人よりも顔の特徴が速く進化した可能性があるとの研究論文が、19日の米科学誌サイエンス(Science)に発表された。

 スペイン・コンプルテンセ大学(Complutense University)のフアン・ルイス・アルスアガ(Juan-Luis Arsuaga)氏率いる研究チームは、スペインにある地下立坑の底部で発見された43万年前の人骨群の中にあった頭蓋骨17個を調査した新研究で、ネアンデルタール以前の古代人が獲得した最初の顕著な特徴が「大きな顎」だったことを示唆している。

 彼らの大きな下顎骨は肉にかぶりつくことができ、大きく開き、道具や第3の手の役割を果たした可能性もある。過酷な寒冷環境の中で食事をする必要性に適応する助けになったのかもしれない。また論文によると、小型の頭蓋骨は脳が小さかったことを示唆しており、ネアンデルタール人にみられるような大きな脳への発達は、進化の過程でもっと後に生じたことを示しているという。

 スペイン・アタプエルカ山脈(Atapuerca Mountains)にある「シマ・デ・ロス・ウエソス(Sima de los Huesos)」遺跡の人骨群は、1984年に発掘されて以来、人骨28体を含む骨片7000個近くが出土しており、古代人の遺骨の発見としては過去最大規模だ。

 人骨は若くして死亡した成人のもので、どのように死んだのかや、遺骨が発見された立坑の底までどうやってたどり着いたのかといった科学的に解決されていない疑問が数多く残されている。彼らは征服者らによって、儀式または他の理由で穴に投げ込まれた可能性もあると研究チームは推測している。