【6月19日 AFP】スペインの新国王、フェリペ6世(King Felipe VI、46)が19日に即位したことに伴い、妻のレティシア王妃(Queen Letizia、41)はこれまでのように友人らとカフェや演劇鑑賞、インディーズバンドのコンサートにお忍びで出掛けるといったプライベートな楽しみはもはやあきらめなくてはならないだろう。

 元ニュースキャスターの同妃はこれまで、一般の大抵は数人の女友達と連れ立ち、王室の正装でないカジュアルな服装でこっそり外出するなど、その姿は同国の大衆メディアで頻繁に報じられてきた。昨年4月には、首都マドリード(Madrid)で開かれた米ロックバンド、イールズ(Eels)のコンサートに、ジーンズに黒のレザージャケットというスタイルで足を運ぶ写真が紙面を飾った。

 しかし今月2日に父親のフアン・カルロス1世(King Juan Carlos)が退位を発表したことを受けて、タクシー運転手を祖父に持つ同妃の生活は変容すると予想される。

 1972年9月15日、中流階級のオルティス(Ortiz)家に生まれたレティシア王妃は、皇太子時代のフェリペ6世に初めて会った時は30代で、離婚も経験していた。

 保守系の全国紙エルムンド(El Mundo)のコート・ビリャール(Cote Villar)記者は、2004年に皇太子妃となってから多くのことを学んできた同妃は、王妃になるということは新たな責務が伴うということであると認識していたという。

「国王が1月、2人に退位する意向を伝えて以降、同妃は以前のような外出は控えている。王妃になるということの意味を完全に理解していることは、その点にもはっきり表れている」とビリャール記者は語っている。また同記者は「フアン・カルロス1世退位の発表以来、メディアの態度は友好的になった」と指摘している。

 王室に詳しく、皇太子夫妻に関する著作もあるホセ・アペサレナ(Jose Apezarena)氏も、王妃への即位がさらなるイメージアップにつながるかもしれないとみている。「皇太子妃であることと王妃であることは違う。(王妃になれば)新たな見方をするようになり、より理解を示すはずだ。候補者の時は監視されているようなものだから」と同氏は分析している。

 即位に当たり、国王夫妻はマドリードを車でパレードする予定だが、王妃はジーンズではなく王室の正装で臨むとみられる。どのようなドレスを身にまとうかは公表されていない。(c)AFP/Elodie CUZIN