【6月18日 AFP】ブラジルの実業家ルイス・メイエル・ブルームベルクさんは、リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)の象徴、マラカナン・スタジアム(Maracana Stadium)で行われるすべてのイベントに有効な「永久チケット」を持っている。ただし唯一の例外はサッカーW杯だ。

 ブルームベルクさんのチケットには「永久特別席」のスタンプが押されていてもよさそうなものだが、国際サッカー連盟(FIFA)は、生涯にわたっていつでもスタジアムに入場できる権利を一時的に停止にした。


「このプラスチックカードの価値と同程度の額で数年前、アパートを買えたくらいだ。このカードでW杯の席が取れないとは残念だ」。AFPの取材に対してそう語るブルームベルクさんは50代半ば、白髪交じりでスマートな外見の男性だ。リオ市内に4店舗を展開する「ディモナ」という洋服店のオーナーで、サッカーの試合やそれ以外のイベントに好きなだけ入場できる「特権階級」の1人だ。

 1948年~50年にかけてマラカナン・スタジアムが建設された際、完成に近づくにつれ予算が逼迫したため、当局は寄付をしてくれる裕福なファンに3000枚ほどの「永久チケット」を割り当てた。ブルームベルクさんは20年近く前に、ある一家が所有していた「永久チケット」を何とか購入し、「特権階級」入りを果たした。リオの人気サッカークラブ、フラメンゴ(Flamengo)の熱心なファンであるブルームベルクさんによれば「懸命に探したよ。こうしたチケットはなかなか出回らないからね。このチケットを持っている人たちは普通、自分の子どもたちに譲るものなんだ」という。

 だが、FIFAはサッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)期間中、7月13日の決勝戦を含めマラカナン・スタジアムで行われる7試合についてこの権利を取り上げたため、ブルームベルクさんはW杯をテレビで観戦しなければならない。