【6月18日 AFP】韓国の朴槿恵(パク・クネ、Park Geun-Hye)大統領が新首相に指名した文昌克(ムン・チャングク、Moon Chang-Keuk)氏に、指名辞退を求める声が高まり、大統領はまたも窮地に追い込まれている。文氏は当初の首相指名者が辞退したために朴大統領が指名した2人目の候補。

 元ジャーナリストで政治経験の乏しい文氏については、名前が公表された当初から驚きの人選とされていたが、さらに日本による植民地支配に関する同氏の過去の発言が、韓国政界で大きな争点となっている。

 朴大統領はこれまでにも、主要閣僚の任命で数々の問題に直面してきた。もしも文氏が指名を辞退すれば、4月に起きた旅客船セウォル(Sewol)号沈没事故への対応をめぐって就任以来、最低水準の支持率を記録する大統領にとって、さらなる打撃となる。

 そもそも文氏は、朴大統領にとっての本命候補ではなかった。当初、次期首相候補に指名されたのは安大煕(アン・デヒ、Ahn Dai-Hee)元最高裁判事だった。しかし、退官後に民間企業の顧問として高額報酬を得ていたことが問題視されたため安氏は先月、首相指名を辞退した。

 韓国の首相は、ほぼ象徴的な地位で実権は全て青瓦台(大統領府、Blue House)にあるが、閣僚のなかで唯一、議会の承認を必要とする役職だ。指名をうけ、文氏が議会での人事聴聞会まで進んだとしても、厳しい質問に直面すると予想される。(c)AFP