【6月18日 AFP】米宅配ピザ大手のドミノ・ピザ(Domino's Pizza)は17日、同社のフランスとベルギーの顧客情報60万件を盗み取ったとするハッカー集団から、情報と引き換えに3万ユーロ(約420万円)の支払いを要求された件について、脅しに屈することはないと明言した。

 ドミノ・ピザは13日、情報が流出した恐れのあるフランスとベルギーの顧客に対し、同社がハッキングを受け、一部のパスワードが盗まれたことを明らかにした。また、電話番号や住所などの情報にもアクセスされたが、銀行口座に関する情報へのアクセスはないと説明した。

 一方、「レックス・ムンディ(Rex Mundi)」と名乗るハッカー集団は同日、ツイッター(Twitter)で同社に対し、顧客情報を公開されたくなければグリニッジ標準時(GMT)16日午後6時(日本時間17日午前3時)までに3万ユーロを支払うよう要求した。このツイッターのアカウントはその後、削除されている。

 ドミノ・ピザの広報担当者はAFPに対して17日、支払いには応じていないとし、「いかなる犯罪組織からの脅迫にも屈することはない」と述べた。ハッカーらがその後、顧客情報を公開したか否かは不明だ。

 ITコンサルタント企業、ソルコム(Solucom)の専門家によると、レックス・ムンディは無名のハッカー集団ではない。

 2012年には仏ケーブルテレビ大手のニュメリカブル(Numericable)や同国ニース(Nice)の銀行を攻撃、金をゆすり取ろうとしていたという。この時には、顧客情報がインターネット上で公開された。

 コンピューター・セキュリティー企業トレンドマイクロ(Trend Micro)の戦略担当者は、自身の知る限り、これまでにハッカー集団が公に金銭を要求したことはないとし、この新たな動きは「非常に恐ろしいものだ」と付け加えた。さらに「弱肉強食の世界、開拓時代の米西部地方にいるようなものだ。消費者は公然と人質に取られている」と語った。(c)AFP