【6月17日 AFP】改良を加えた米アップル(Apple)のスマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)4S」を利用して、1型糖尿病患者の血糖値調節を行うデバイスを開発したとの研究報告が、15日の米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に掲載された。研究者らはインスリンポンプよりも機能的と自信をのぞかせている。

「バイオニック膵臓(すいぞう、Bionic Pancreas)」と呼ばれるこのデバイスでは、血糖値を調節するホルモンであるインスリンを体内で生成できない1型糖尿病患者の生活向上を支援する。

 米国には、1型糖尿病患者が約300万人いる。2型糖尿病患者よりもはるかに少ないが、子供や若者にみられる傾向があることから、小児糖尿病としても広く知られている。

 1型糖尿病患者は、血糖値を管理するために1日に数回血液を自分自身で採取し、インスリンを注射やポンプで体内に注入する必要がある。

 この最新の技術を応用したデバイスでは、iPhone 4Sでインスリンとグルカゴンの制御アルゴリズムを実行し、皮膚下に挿入した極小の針で血糖値をリアルタイムに管理する。

 成人と未成年の計52人がこの方法を5日間試した。研究チームによると、バイオニック膵臓を使用した患者らは、これまでの方法に比べて低血糖になる回数が減り、夜間の血糖値にも「著しい改善」が見られたという。

 論文の執筆者らは、デバイスの市販までにはさらなる研究が必要としている。(c)AFP